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玉掛け作業とは?安全対策のための基本ルールや作業手順、必要な資格を解説

工事現場の安全を確保するために、欠かせない仕事の一つである玉掛け作業。名前は聞いたことがあっても、実際にどのような仕事なのかきちんと理解していない方も多いと思います。以下では玉掛け作業とはどのような仕事なのか、またその種類や安全を確保するための手段、さらに求められる資格と取得する方法に関して具体的に説明します。


 玉掛け作業とは


玉掛け作業とは、工事現場などでクレーンを使って重い荷物を持ち上げる際に、その荷物をフックに掛けたり外したりする作業のことを指します。


フックに掛ける方法

フックに掛ける方法には以下の四つの方法があります。最も一般的なのは目掛けであるため、この方法に慣れ、きちんとできるようになることが重要です。




方法
作業内容
目掛け

フックにワイヤロープのアイを掛ける方法

半掛け

フックにアイを掛けない方法

あだ巻き掛け

フックにワイヤロープを1回巻き付ける方法

肩掛け

フックの肩の部分にワイヤロープを巻き付ける方法



つり荷に掛ける方法

つり荷に掛ける方法についても同様に以下四つの方法があります。こちらも最も一般的なのは目掛けであることを覚えておきましょう。


方法
作業内容

目掛け

つり荷のつり手などにワイヤロープのアイを掛ける方法

半掛け


ワイヤロープをつり荷に回して掛ける方法

あだ巻き掛け


つり荷にワイヤロープを1回巻き付けて掛ける方法

目通し

ワイヤロープの方のアイに反対側のアイまたは二つ折りした部分を通して、つり荷を絞り込むように掛ける方法



玉掛け作業の基本的な作業手順


玉掛け作業は基本的に以下1~8の作業手順に沿って行われます。安全確保のために一つひとつの手順をしっかりと理解しておきましょう。

1.     クレーンを呼ぶ

2.     玉掛けする

3.     ワイヤを利かせる

4.     地切りする

5.     巻き上げ

6.     横移動

7.     降ろす

8.     荷解きする


以下では、各作業の詳細や注意点などを説明します。


クレーンを呼ぶ

クレーンを呼びます。複数人で行うと混乱するため、合図は1人で行います。また、クレーン運転手に指示がはっきり伝わるように、大きな動作で明確に行うようにします。合図が明確でないと運転の誤操作につながり、接触・激突することになりかねません。

 玉掛けする

重心がずれて荷崩れを起こさないように、玉掛けは2方向から荷の重心を確認しながら行います。玉掛けの角度が大きいとワイヤが切断する危険があるため、30~60度以内にします。

ワイヤを利かせる

クレーンが急にワイヤを巻き上げると、ワイヤと荷の間に手を挟む恐れがあるため、微動巻き上げの合図で介錯ロープを付けて行います。

地切りする

重心の位置が悪いと荷揺れを起こしてしまい、荷が激突する可能性があります。補助者を非難させ、微動巻き上げの合図で地切りします。

 巻き上げ

荷締めが不足していると荷崩れを起こして落下する危険があるため、介錯ロープで誘導します。巻き上げの際は荷から3m離れ、安全を確保します。

横移動

横移動する際には障害物と接触する恐れがあることを想定しておきます。介錯ロープの誘導が必要です。

降ろす

巻き下げの合図で荷を下ろします。

荷解きする

荷解きは2人で行います。


玉掛けの合図



玉掛けの合図とは、クレーン運転手に手や旗、声などを使って距離感を伝えることです。クレーン運転手が距離感をきちんとつかめないと激突などの重大な事故につながる恐れがあるため、安全確保のために非常に重要な業務です。


  • 手による合図
  • 一本旗による合図
  • 声による合図


笛のみの合図は運転手が聞き間違えてしまったり、合図の内容を誤解したりする可能性が高く、事故につながりやすいため禁止されています。笛はあくまでも手による合図の補助手段であることを覚えておきましょう。


手による合図

手による合図の指示内容と合図の方法は以下の通りです。



指示
手の動き
呼び出し

片手を高く上げる

位置の指示

なるべく近くの場所で指差し

巻き上げ

片手を上にして輪を描く

巻き下げ

腕を水平に上げて、手のひらを下にして上げ下げする

ジブ上げ

親指を立てて上に突き上げる

ジブ下げ
親指を下に向けて立てて下方向に動かす


手による合図はしっかり伝わるように動作は大きく、明瞭に行いましょう。


一本旗による合図

一本旗による合図の指示内容と合図の方法は以下の通りです。



指示

旗の動き

呼び出し

旗を高く上げる

位置の指示

荷の近くに移動して旗で示す

巻き上げ

旗を上げて輪を描く

巻き下げ

旗を水平にして左右に振る

ジブ上げ

旗を頭部から上に向かって動かす

ジブ下げ
旗を頭部から下に向かって動かす


旗による合図も確実にクレーン運転手に伝わるように、相手からよく見える位置で大きく動かすようにします。


声による合図

声による合図の指示内容と合図の方法は以下の通りです。


指示

巻き上げ

(コ)ゴーヘイ

巻き下げ

(コ)スラー

ジブ上げ

オヤゴーヘイ

ジブ下げ

オヤスラー

少し移動

チョイ、チョイチョイ

伸縮

伸ばし


合図の中の「コ」とはクレーンのフック、「オヤ」とはクレーンのジブを指しています。また「ゴーヘイ」とは英語の「go ahead(巻き上げ)」、「スラー」は「slack away(下げ)」に由来しています。


玉掛け作業の安全に係るガイドライン


「玉掛け作業の安全に係るガイドライン」は、玉掛け作業における労働災害を防止するために厚生労働省から公表されている通達です。事業者が講ずべき措置として以下の項目があります。以下それぞれについて説明します。


  • 作業標準等を作成する
  • 玉掛け等作業に係る作業配置の決定
  • 作業前打ち合わせの実施
  • 玉掛けの方法の選定
  • 玉掛け等作業の実施
  • 日常の保守点検の実施


参考:玉掛け作業の安全に係るガイドライン


作業標準等を作成する

事業者は玉掛け作業を含む荷の運搬作業の種類・内容に応じて、作業分担やクレーン等の種類および能力、玉掛けの用具や合図について、安全確保に十分配慮した作業標準を定め、関係労働者に周知しなければなりません。

玉掛け等作業に係る作業配置の決定

事業者はあらかじめ定めた作業標準または作業の計画に基づき、クレーン等の運転手、玉掛け作業を行う者、合図者、補助者などの配置を決定するととともに、玉掛け作業の責任者を指名しなければなりません。

作業前打ち合わせの実施

事業者は玉掛け等作業を行うにあたって、作業責任者に関係労働者を集めて作業開始前の打ち合わせを行わせなければなりません。その際、作業責任者は作業概要や作業手順等を労働者全員に指示、周知させます。

 玉掛けの方法の選定

事業者は玉掛け方法に応じて、安全係数の確保、つり角度を原則として90度以内にすること、使用するワイヤロープの数など配慮すべき事項を列挙し、それらに配慮して作業を行わせます。

玉掛け等作業の実施

玉掛け等作業中に、事業者が玉掛け作業責任者、玉掛け者、合図者、クレーン等運転手の各担当者に実施すべき事項を具体的に示し、それらが確実に実施されるようにします。

 日常の保守点検の実施

事業者は定期的に点検する時期、担当者を定め、玉掛け用具の点検方法、判定基準を表で示すようにします。


玉掛け作業333運動とは


玉掛け作業333(さんさんさん)運動とは、玉掛け作業においてつるされた荷物を安定させ、労働者の安全を確保するために注意すべきポイントをまとめたものです。以下、具体的に説明します。


合図者は3m離れる

玉掛けをしたら、ワイヤを張った状態で3m離れます。そうすることで、万が一つり荷が落下しても合図者が巻き込まれることを防止できます。

地切りの際は30cm以内の高さで安定を確認

地切りのときは30cm以内の高さでいったん停止して、安定を確認しましょう。これにより、高い位置からのつり荷の落下を防ぐことができます。

 玉掛けをして3秒確認

玉掛け者はクレーン操作者が地切りをしてから3秒間待ちます。玉掛け者はこの3秒の間にしっかりとワイヤが荷に掛かっていることを確認します。それにより、地切りしてから荷が揺れたり、バランスを崩して荷崩れしたりすることを避けられます。

玉掛け作業の災害事例と注意点


玉掛け作業に慣れてくると、上述した「玉掛け作業333運動」をおろそかにしがちです。しかし、どれだけ作業に慣れたとしても安全の確保を第一にすべきです。重大な事故、労働災害が起きたあとでは遅いのです。以下、玉掛け作業の災害事例を二つ挙げます。

1.橋型クレーンを使用して総重量1.8tの鋼製型枠を2本のワイヤで玉掛けしたあと、つり上げて移動していたところ、1本のワイヤが切断、その後もう1本も切れて鋼製型枠が落下、下部にあった発電機にあたって跳ね返り、そばにいたクレーン操作者に激突した。

2.クレーンを使用して鉄板の束を積み替えしている最中、玉掛け用具の一部が近接した荷の山に接触して外れてしまった。それにより、積み荷の鉄板の束が崩れ、クレーン操作者が別の荷の山の間に挟まれた。


こうした事態が生じないように、面倒に思えても毎回の作業で玉掛作業333運動を徹底することが大切です。


玉掛け作業に必要な資格と取得方法


以上のように、玉掛け作業は注意しないと重大な事故を引き起こすことになりかねないため、その作業に従事するためには資格が必要です。玉掛け作業者は国家資格であり、労働安全衛生法第61条、第76条で規定されている「玉掛け技能講習」および「玉掛け特別教育」を修了した者です。

この資格を取得しないまま業務を行った作業者には、労働安全衛生法61条違反として同法120条による罰則、50万円以下の罰金の適用があります。また、その資格を取得していない者に一定の作業をさせた事業者には同法119条による罰則6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金の適用があります。

つり上げ荷重が1t以上のクレーン等の玉掛け業務

つり上げ荷重が1t以上のクレーン等の玉掛け作業をするためには、都道府県の登録教習機関において実施される玉掛け技能講習を受けなければなりません。保有している資格や業務経験によって免除される科目や実技があり、最短で学科2日、実技1日の合計19時間の講習です。学科、実技ともに修了試験がありますが、内容は難解ではないようです。


費用

22,000~26,000円

学科

クレーン等に関する知識

1時間

クレーン等の玉掛けに必要な力学に関する知識

3時間

クレーン等の玉掛けの方法

7時間

関係法令

1時間
実技

クレーン等の玉掛

6時間

クレーン等の運転のための合図
1時間


つり上げ荷重が1t未満のクレーン等の玉掛け業務

つり上げ荷重が1t未満のクレーンは多くなく、需要はあまりないようですが、この種のクレーン等の玉掛け業務をするためには、企業など各事業所や各都道府県の登録教習機関で実施されている特別教育を修了しなければなりません。特別教育は9時間以上の講習と実技から構成されています。


費用
11,330~18,000円
学科

クレーン等に関する知識

1時間

クレーン等の玉掛けに必要な力学に関する知識

1時間

クレーン等の玉掛けの方法

2時間

関係法令

1時間
実技

クレーン等の玉掛け

3時間

クレーン等の運転のための合図
1時間


 まとめ


クレーンの玉掛け作業は一見地味な仕事にも見えますが、クレーンによって荷をつり上げ、移動させる際には欠かすことのできない大事な仕事です。興味のある方は上記の情報を参考に、資格を取得してこの業務にチャレンジしてみましょう。





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